「買取再販に参入したいが、どこから手をつければよいのか分からない」
不動産の窓口を持ち始めた工務店から、こうした声を聞く機会があります。買取再販は、中古住宅を買い取ってリフォームを施し、再び販売する事業です。工務店にとっては、建築の技術を活かせる分野に見えます。
ただし、買取再販は、物件を売ってくれる「売主」と、買ってくれる「買主」の両方から選ばれなければ成り立ちません。どちらか一方でも欠ければ、事業は止まってしまいます。
今回は、買取再販の市場動向を押さえた上で、工務店が売主と買主の双方から信頼を得るための考え方を解説していきます。
買取再販を取り巻く市場は、拡大している
リフォーム産業新聞の調査によると、買取再販の大手14社の販売戸数は、2026年の調査で合計2万1,894戸でした。前年から約10%増えています。売上高の合計は7,061億円で、前年から約25%増えました。2018年の調査と比べると、販売戸数は約1.5倍、売上高は約2.2倍です。(出典:リフォーム産業新聞「買取再販年間販売戸数ランキング2026」)
中古住宅の取引そのものも増えています。東日本レインズによると、2025年度の首都圏の中古戸建住宅の成約件数は2万2,042件で、前年度から38.9%増えました。3年連続で前年度を上回り、過去最高となっています。(出典:東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向(2025年度)」)
市場の拡大は、参入を考える工務店にとって追い風です。一方で、同じ市場を目指す会社が増えることも意味します。選ばれる理由をつくらなければ、価格だけの競争に巻き込まれてしまいます。
買取再販は、2方向の信頼で成り立つ
買取再販の流れは、次の5つの段階に整理できます。
- 相談:売主から、売却の相談を受ける
- 査定・買取:建物の状態を確認し、買取価格を提示して買い取る
- リフォーム・リノベーション:買い取った住宅に手を入れる
- 販売:買主に、住宅の状態や工事の内容を説明して売る
- 引き渡し後:不具合の相談などに対応する
このうち、1〜2が売主から物件を預かる「仕入れ」、4〜5が買主に売る「販売」にあたります。
仕入れの段階では、売主に「この会社に任せたい」と思ってもらう必要があります。販売の段階では、買主に「この会社の中古住宅なら安心できる」と思ってもらう必要があります。
どちらの信頼も欠かせません。売主から物件を預かれなければ、売る商品がありません。買主に選ばれなければ、仕入れた物件が在庫として残ってしまいます。そのため、工務店が買取再販を始めるときは、仕入れと販売の両方に目を向けることが大切です。
売主から選ばれる:根拠を示して、不安を減らす
売主にとって、住まいを手放すことは大きな決断です。「この価格は妥当なのか...」「本当に任せて大丈夫なのか...」そうした不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
買取価格の根拠を、建築の目線で説明する
不動産会社の査定は、周辺の取引事例を中心に価格が示されることが少なくありません。工務店は、これに建築の目線を加えられます。築年数や劣化の状況、必要になる修繕の内容と費用を確認し、買取価格にどう反映したのかを説明できます。
根拠が見える価格は、売主にとって納得しやすいものです。「なぜこの金額なのか」を、丁寧に伝えられる会社は信頼されます。
買い取りだけでなく、選択肢を示す
売りたいという相談を受けたとき、買い取ることだけを勧める必要はありません。売主の希望や物件の条件によっては、買い取らずに仲介で売る方法のほうが合う場合もあります。両者には、次のような違いがあります。
- 買取:会社が直接買い取ります。買主を探す必要がないため、現金化が早く進みます。一方で、価格は市場で売り出す場合より低めになりやすい傾向があります。
- 仲介:会社が買主を探し、売却を支えます。売れるまでに時間はかかりますが、市場での価格を目指しやすくなります。
早く手放したいのか、価格を重視したいのか。売主の希望を聞いた上で、複数の選択肢を示せる会社は、誠実だと受け止められます。結果として、「また相談したい」と思ってもらえる関係につながります。
入口は、自社で建てたお客様
売主との接点づくりで、工務店に有利なのが、自社で家を建てたお客様(建築OB)です。
すでに信頼関係があり、建物の状態もよく分かっています。売却や住み替えの相談が出たときに、真っ先に声をかけてもらいやすい立場にあります。
引き渡し後も連絡を取り続けておくことが、その土台になります。あわせて、自社の商圏で買いたいお客様がどんな条件を探しているのかを把握しておくと、買い取るかどうかを判断する材料にもなります。
買主から選ばれる:中古住宅の不安を、仕組みで減らす
次に、買主の視点です。中古住宅は、新築と違って、見えない部分に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。基礎や構造、配管の状態は、見た目だけでは分かりません。
まず見られる、築年数と耐震基準
買主が最初に気にする点の1つが、築年数と耐震基準です。1981年(昭和56年)6月以降に建築確認を受けた建物は、現在の耐震基準(新耐震基準)に基づいて建てられています。それ以前の建物は、旧耐震基準で建てられています。
築年数は、中古住宅を選ぶときの目安になります。ただし、築年数だけで建物の良し悪しが決まるわけではありません。どこを確認し、必要な補修や補強をどう行ったのかを説明できることが、買主の安心につながります。
築年数だけでは分からない部分の不安は、「安心の仕組み」で減らせます。代表的なものを3つ紹介します。
建物の状態を調べる:インスペクション
インスペクションとは、建物の状態を専門家が調べる調査のことです。劣化の状況や不具合の有無を確認できるため、買主は購入前に建物の状態を知ることができます。
万が一に備える:既存住宅売買瑕疵保険
既存住宅売買瑕疵保険は、引き渡し後に見つかった不具合の修繕費用などを補償する保険です。売主が宅建業者の場合は、保険期間が2年または5年のプランから選べます。保険に入るには、事前に検査を受ける必要があります。
調査と保険を組み合わせれば、「状態が確認されていて、万が一のときの備えもある」という説明ができます。買主にとっては、判断の拠り所になります。
工事の中身を、きちんと伝える
もう1つ大切なのが、リフォームの内容を分かりやすく伝えることです。どこを、なぜ直したのか。どこは手を入れていないのか。工事の前後の状態が分かる記録があれば、買主は納得して購入できます。
工務店だからこそ、両方の信頼を得やすい
ここまで見てきた売主・買主への対応は、建築を知っている工務店だからこそ、説得力を持たせやすい部分でもあります。
仕入れの段階では、建物の状態を見極める目が、適正な買取価格の判断につながります。修繕にかかる費用を具体的に見積もれるため、価格の根拠を示しやすくなります。
販売の段階では、リフォームの内容や建物の状態を、自社の言葉で説明できます。自社で施工するため、品質に責任を持って伝えられます。引き渡し後に不具合が見つかったときも、自社で対応できるため、買主にも安心感があります。
つまり、工務店の強みは、売主と買主の双方に対して「建築の裏付けのある説明ができる」ことです。これが、価格以外の理由で選ばれる土台になります。
まとめ
買取再販の市場は、大手14社の販売戸数が2018年の約1.5倍になり、首都圏の中古戸建の成約件数も過去最高になるなど、拡大が続いています。その分、競合も増えており、売主と買主の両方から選ばれる理由が欠かせません。
売主に対しては、買取価格の根拠を建築の目線で示し、選択肢を提示することが信頼につながります。買主に対しては、インスペクションや瑕疵保険といった仕組みで、中古住宅の不安を減らすことが大切です。建築の知識を持つ工務店は、どちらの場面でも強みを活かせます。
物件王では、買取再販の進め方や成功スキームを資料にまとめています。
【資料からわかること】
- 大手に埋もれずに売主を集める方法(自社の建築OBへのアプローチ)
- 買取と仲介を見極めるための、商圏内の買いたいお客様の統計の取り方
- 薄利・短期間で回すための、物件の選び方と仕入れのコツ
資料もあわせてご覧いただくと、買取再販のイメージがより具体的になるかと思います。
買取再販を始めて、大手に埋もれずに売主から選ばれる工務店になりたいという方は、ぜひ資料もご確認ください!
\簡単な入力のみで、メールにてお届けします!/
▶ 「買取再販の成功スキーム」を無料で受け取る











