新築住宅の価格が上昇を続ける中、「うちに相談に来るお客様の層が、以前と変わってきた」と感じている工務店様も多いのではないでしょうか。
今回は、新築住宅の価格上昇によって顧客層がどう変化しているのか、そして工務店がその変化にどう応えていくべきかを解説していきます。
「新築を選べる顧客」が、絞られてきている
実際に家づくりの相談を受けている工務店の間では、相談者の年収層が以前より高くなってきている、という声が聞かれます。
具体的には、かつては世帯年収600万〜800万円台からの相談も多かったところ、近年は年収1000万円を超える層からの相談が中心になっており、土地・建物の総額も7000万円を超えるケースが目立つようになってきているといいます。(出典:新建ハウジング2026年7月9日号)
また、土地代を含めた住宅ローンの総額が5000万円を超え、月々の返済額が十数万円規模になってくると、一般的な世帯にとっては無理のない返済を続けることが難しくなるのではないか、という懸念の声も聞かれます。(出典:同上)
つまり、新築住宅を選べる顧客は、年収の高い一部の層に絞られてきているということです。これまで新築のボリュームゾーンだった一般的なサラリーマン世帯が、価格の上昇によって新築の選択肢から外れつつあります。
外れた顧客は、どこへ向かうのか
新築を選べなくなった顧客が、そのまま家づくりを諦めるわけではありません。多くは「中古を買ってリノベーションする」という選択肢に向かいます。
一方で、リノベーションという選択肢には、新築とは異なる難しさもあります。今ある建物を長く使い続けていくことは、リノベーションならではの価値のひとつです。しかし、見知らぬ他人が暮らした跡が残る建物に、新しい住まい手が魅力を感じられるかどうかは別の話です。その建物に対する思い入れがなければ、価値を実感しにくいという面があります。
この指摘が示しているのは、単に「中古のリノベーションが儲かりそうだから始める」という単純な話ではないということです。中古住宅とリノベーションには、新築とは異なる提案の難しさがあります。住まい手が「他人の家」に愛着を持てるよう、価値の伝え方や提案の工夫が求められます。
年収は、あくまで「選びやすさ」の目安にすぎない
ここまでの内容だけを見ると、「年収が高い人は新築、それ以外は中古+リノベ」というように、顧客を単純に2つのグループに分けてしまいたくなります。
しかし、実際の顧客の判断は、年収だけで決まるわけではありません。同じ年収帯の顧客でも、「多少無理をしてでも新築にこだわりたい」という人もいれば、「予算に余裕があっても、中古のリノベーションに魅力を感じる」という人もいます。
つまり、年収は顧客がどちらを選びやすいかの一つの目安にはなりますが、それだけで機械的に「この人は新築向き」「この人は中古向き」と決めつけてしまうのは早計です。
工務店に求められているのは、年収という一つの軸だけで顧客を振り分けることではなく、「新築」と「中古+リノベ」、両方の選択肢を用意したうえで、一人ひとりの顧客に合った提案をすることだと言えます。
両方の選択肢を持つことの意味
新築だけを扱っている工務店の場合、年収の高い顧客層以外は、そもそも自社の対象外になってしまいます。せっかく興味を持ってくれた顧客も、予算が合わなければ他社(中古+リノベを扱う会社)に流れてしまいます。
一方、新築とリノベーションの両方を扱える工務店であれば、顧客の予算や価値観に応じて、柔軟に選択肢を示すことができます。
- 予算に余裕があり、新築にこだわりたい顧客には、新築を提案する
- 予算を抑えたい、あるいは既存の建物に価値を見出す顧客には、中古+リノベーションを提案する
- どちらか迷っている顧客には、両方のメリット・デメリットを比較しながら、一緒に考える
この「両方を提案できる」という体制は、新築だけの会社にも、リノベーションだけの会社にも真似のできない強みになります。
この動きは、地域の工務店だけの話ではない
「両方の選択肢を持つ」という発想は、実は大手ハウスメーカーの動きにも表れています。
ある大手ハウスメーカーでは、新築において高い断熱性能を標準化する一方で、既存住宅を活用するストック事業にも力を入れており、不動産仲介・買取再販事業を全国展開しています。(出典:新建ハウジング2026年7月9日号)
つまり、新築の性能を高めながら、同時に中古住宅の活用にも本腰を入れるという方針は、地域の工務店だけでなく、業界を代表する大手企業までもが選んでいる道だということです。これは、顧客の二極化という変化が一時的なものではなく、業界全体で対応が必要な構造的な変化であることを裏付けています。
規模の大小にかかわらず、新築とリノベーション(中古活用)の両方を持つことが、これからの住宅業界における一つの標準になりつつあるのかもしれません。
中古を扱うには、不動産の窓口が欠かせない
ただし、中古+リノベーションという選択肢を本気で提案するには、リノベーションの技術だけでなく、中古物件そのものを見つけてくる力が必要になります。
中古物件の情報は、不動産の仲介という窓口を通じて流れてきます。仲介の窓口を持たない工務店がリノベーションだけを提案しようとしても、肝心の「どの中古物件を選ぶか」という部分で、他社(不動産会社)に頼らざるを得ません。これでは、顧客との関係の主導権を握ることができません。
不動産の窓口を自社で持っていれば、川上のお客様と接点を持つことができ、物件探しの段階から建物の状態やリノベーションの可能性まで含めて、一貫して提案できます。顧客にとっても、物件探しとリノベーション計画を同じ窓口で相談できることは、大きな安心材料になります。
まとめ
新築住宅の価格上昇によって、顧客が「新築を選べる層」と「中古+リノベに向かう層」に分かれ始めています。この変化は地域の工務店だけでなく、大手ハウスメーカーも不動産仲介・買取再販事業に乗り出すほど、業界全体で向き合うべき構造的なものになっています。
この変化に対応するには、新築とリノベーション、両方の選択肢を用意し、顧客ごとの価値観に合わせて提案できる体制が求められます。そして、中古+リノベを本気で提案するには、リノベーションの技術だけでなく、物件を見つけてくる不動産の窓口が欠かせません。
新築一本足の経営では、これから増えていくであろう「中古+リノベ」の顧客層を取りこぼしてしまうかもしれません。両方の選択肢を持つことが、これからの工務店経営における一つの分かれ道になるのではないでしょうか。
物件王では、建築会社・工務店様が不動産の窓口を持つお手伝いをしております。
集客支援・実務支援・システム提供の3つの柱で、未経験からでも取り組める体制を整えています。新築とリノベーション、両方の顧客に応えるために、川上のお客様との接点をつくりたいという方は、ぜひサービス資料もあわせてご覧ください!
\全国約280社様が導入/
▶ 【簡単な情報入力のみ!】サービス資料はこちら









.jpg&w=640&q=75)

