中古住宅を買い取り、リフォームして再び売り出す「買取再販」事業が、今、着実に成長を続けています。
2026年7月に発表された買取再販の年間販売戸数ランキングでは、1位の「カチタス」が前年比14.7%増の6,422戸、2位の「レジデンシャル不動産」は15.0%増と、上位企業の一部で二桁の増収が見られます。すでに大きな実績を持つ企業が、それでも数字を伸ばし続けているのです。
(出典:リフォーム産業新聞2026年7月27日号)
今回は、このデータから見えてくる買取再販市場の伸びしろと、不動産仲介との関わりについて、丁寧に解説していきます。
なぜ、上位企業ですら伸び続けているのか
背景には、新築住宅価格の高騰があります。資材費や人件費の上昇により、新築を選びにくいと感じる方が増え、中古住宅とリフォームを組み合わせるという選択肢に、確かな注目が集まっています。
国土交通省も、既存住宅の取引及びリフォームの市場規模を、2023年の16.9兆円から2035年には20兆円まで拡大させるという方針を示しています。今回のランキングデータは、まさにこの方針が現実の数字として表れ始めていることを教えてくれています。(出典:国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」2026年3月)
「もう成熟した市場ではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実際のデータはむしろその逆を示しています。トップ企業ほど成長率が高いという事実は、市場そのものがまだ拡大の途中にあることの何よりの証と言えるでしょう。
「買取」と「仲介」は、まったく違うビジネスモデル
買取再販への参入を考える前に、ひとつ押さえておきたいことがあります。それは、仲介と買取が、根本的に異なるビジネスモデルだという点です。
仲介は、売主と買主をつなぐことで手数料をいただく仕組みです。物件そのものは自社の資産にはならず、成約するまで収益は生まれません。一方、買取再販では、物件を自社で購入し、リフォームを施したうえで販売します。仕入れの段階でまとまった資金が必要になり、リフォーム費用や、売れるまでの保有期間中のコストもかかってきます。
その分、うまくいけば得られる利益は、仲介手数料よりも大きなものになります。仕入れ値とリフォーム費用を上手にコントロールできれば、販売価格との差額が、そのまま利益として積み上がっていくからです。手間もリスクもある分、報われた時の実りも大きい。それが買取再販という事業の性質です。
買取再販の生命線は「良い物件をどう仕入れるか」
買取再販は、仲介業を行っていなくても始められる事業です。実際、仲介をせず、買取再販だけに専念している会社も存在します。ですが、仲介の窓口を持っているかどうかで、事業の伸びしろは大きく変わってきます。
買取再販事業には、リフォーム専業とはまた違った特徴があります。売る物件を、まず自社で仕入れる必要があるという点です。良い立地、良い状態の物件を、いかに早く見つけて確保できるか。ここが、事業の成否を静かに分けています。
そこで重要になってくるのが、不動産の情報網です。物件の情報は、地域の不動産会社や仲介業者を通じて流れてきます。仲介の窓口を自社で持っていれば、そうした情報にいち早く触れられる立場になれるのです。
反対に、仲介の機能を持たず、他社からの紹介だけを頼りにしていると、良い物件ほど、気づいた時には競合に先を越されてしまっているかもしれません。条件の良い物件は、広く市場に出回る前に、静かに取引が決まってしまうことも少なくないからです。
仲介の現場に自ら身を置いているかどうかが、情報をつかむ早さの分かれ目になります。
建築の知識は、買取再販でも武器になる
物件を仕入れた後の工程にも、目を向けてみましょう。買い取った中古住宅は、リフォームを経て、再び市場に送り出されます。ここで問われるのが、建物の状態を正確に見極める力です。
外壁のひび割れが、表面的なものなのか、それとも構造に関わるものなのか。床の傾きが、経年劣化によるものなのか、地盤沈下の兆候なのか。こうした判断は、建築の知識があってこそ、はじめて可能になります。仲介だけを専門とする不動産会社には、なかなか真似のできない、工務店・建築会社ならではの強みです。
さらに、リフォームの範囲や仕様をどう決めるかも、収益性を大きく左右します。手を入れすぎればコストが膨らみますし、必要な修繕を見落としてしまえば、販売後のクレームや値引き交渉につながりかねません。「どこまで直すべきか」を建築の知識をもとに見極められることは、この事業において、確実にアドバンテージになっていきます。
不動産と建築、両方を持つ会社が強い理由
ここまで見てきたように、買取再販は、不動産の情報網と建築の技術、その両方が揃って、はじめて成立するビジネスモデルです。
不動産の情報網だけを持つ会社は、良い物件を見つけられても、その本当の価値を判断しきれません。建築の技術だけを持つ会社は、価値を判断できても、そもそも情報が手元に届きません。両方を自社の中に持つ会社だけが、仕入れから再販までを、一貫して、しかも精度高く進めていけるのです。
この「一貫してできる」という強みは、単に効率がよいというだけの話ではありません。仕入れの判断とリフォームの計画を、同じ組織の中でスピーディーに検討できるため、良い物件情報が入った瞬間の意思決定も速くなります。誰よりも早く動けること自体が、成果へと静かにつながっていくのです。
まとめ
空き家の増加が社会的な課題として注目され、新築住宅は価格高騰で選ばれにくくなっている今、買取再販市場はこれからさらに存在感を増していく段階にあります。仲介とは異なり、仕入れ資金やリフォームコストのコントロールが求められる分、成功すれば大きな利益が見込める事業でもあります。
この事業を支えているのは、良い物件を見つける不動産の情報網と、物件の価値をきちんと見極める建築の知識です。この両方を自社で育てていくことは、これから市場に参入しようとする工務店様・建築会社様・リフォーム会社様にとって、大きな強みになるはずです。
「仲介の次の一手として、買取再販という選択肢もあるかもしれない」——
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