住宅市場が縮小していく中、新築一本だけの事業モデルでは将来に不安を感じ、不動産仲介業への参入に興味を持たれている工務店・建築会社の経営者様も多いのではないでしょうか。
土地探しの段階からお客様と関われないもどかしさや、下請け・相見積もりから抜け出せない構造に課題を感じている、という声もよく聞かれます。
「やった方がいい」と分かっていても、動けない。そんな多くの工務店が最初にぶつかる「壁」の正体を整理していきます。
なぜ、新築一本では苦しい時代になったのか
背景には、少子高齢化による社会全体の人口減少と、それに伴う建設業界の人手不足という、構造的な問題があります。
国土交通省の統計によると、建設業の就業者数は1997年のピーク時に685万人だったのに対し、2024年には477万人まで減少しています。実に約30%の減少です。
(出典:国土交通省「参考資料集」2026年4月)
さらに、55歳以上の就業者が全体の約37%を占める一方、29歳以下の若手入職者はわずか約12%にとどまっています。(出典:日本建設業連合会「建設業の現状」)
今後、ベテラン層が引退する時期を迎えれば、担い手不足はさらに深刻化していくことが見込まれます。
つまり、建設業界は「担い手が減り続ける」という前提で、これからの経営を考えなければならない状況にあります。少子高齢化による人口減少で新築需要そのものが縮小する一方、資材価格の高騰や金利上昇も重なり、新築一本足のビジネスモデルは、以前より確実に厳しさを増しています。
こうした状況の中で、「新築の受注だけに頼らない収益の柱をつくる」という発想が、多くの工務店にとって現実的な経営課題になりつつあります。
踏み出す前に、乗り越えるべき壁
必要性を感じていても、実際に不動産仲介という新しい領域に踏み出すには、いくつかの壁があります。
「新しいことに手を回せるだけの人手がない」
「免許取得や体制構築など、何から手をつければいいか分からない」
「時間もお金もかかるうえ、本当にうまくいくのか不安」
これらはどれも特別な悩みではなく、新しい領域に踏み出そうとする会社であれば、多かれ少なかれ直面するものです。
「不動産は畑違い」という思い込み
工務店にとって、不動産仲介への参入をためらわせる要因の一つに、「建築は建築、不動産は不動産」という、業界に根付いた考え方があります。
これまで建築を専門にしてきた会社にとって、不動産仲介は畑違いの分野に見えるかもしれません。しかし、実際にはそう言い切れるほどの距離はありません。
家を建てたい・土地を探したいという顧客は、そもそも同じ「住まい」というテーマで相談に来ており、窓口を分ける必然性はもともとないのです。住宅ローンや資金計画、土地の形状や地盤といった知識は、建築の現場で日々扱ってきたものがそのまま活かせます。
必要な資格も、宅地建物取引業の免許と宅地建物取引士の設置が中心で、既存の社員が取得する、あるいは有資格者を採用することで、比較的早く体制を整えることが可能です。
「畑違い」という感覚は業種の分類上のイメージにすぎず、実際には自社の強みをそのまま活かせる、地続きの領域だと言えます。
「今から始めても、後発で勝てないのでは」という現実
これに加えて、多くの経営者が口にする不安があります。それは「すでに不動産仲介を始めている地域の会社に、今から参入して勝てるのか」という懸念です。
確かに、地域には長年営業してきた不動産会社が存在し、物件情報の量やネットワークという点では、後発は不利に見えるかもしれません。
しかし、住宅ローンや資金計画など、お客様の人生に関わるお金の話に日頃から向き合ってきた工務店だからこそ活かせる強みもあります。物件王には、後発からでも十分に勝てるロジックがあります。
ワンストップで行うことのメリット
建築と不動産を一つの窓口でまとめて担うことには、エンドユーザー側と工務店側、双方にメリットがあります。
【エンドユーザーにとってのメリット】
- 土地探しから建築まで、同じ担当者に相談できるため、話を何度も説明し直す必要がない
- 建築の知識をもとにした土地選びのアドバイスを受けられる
- 売却・賃貸・建て替えなど、将来のライフステージの変化にも同じ窓口で相談できる
【工務店にとってのメリット】
- 土地探しの段階(川上)から顧客と接点を持てるため、競合他社も減り自社受注率が圧倒的に向上する
- 仲介手数料という、工事とは異なるタイミングで発生する利益率100%の収益源を持てる
- 顧客との関係が「引き渡しで終わり」ではなく、長期的に継続する
- 景気に左右されにくいので経営基盤も安定化する
どんな相談も自社の利益につながる
不動産の相談窓口を持つことの一番の価値は、「仲介手数料を得られるかどうか」だけが目的ではないという点にあります。たとえば、以下のような相談は、一見バラバラに見えても、すべて工務店にとっての機会になり得ます。
- 「かわいい家が建てる土地が欲しい」「高性能な家を建てる土地が欲しい」
→ 建築目的の相談として、自社建築につながる。
- 「地震に強い家が建てたい」「中古住宅を購入してリフォームしたい」「家賃がもったいない」
→ 不動産窓口を経由して、新築・建売の紹介や中古リフォームの提案につながる。
- 「考えるのが面倒だから建売がほしい」「子供の学区の物件が知りたい」
→ 不動産のプロとしてコンサルティング的に応対することで、どんな選択をされても自社の利益(自社建築・建築紹介・新築建売・中古リフォーム・仲介)につながる。
つまり、建築の窓口だけを持っている場合、反響があるのは「持家購入を考えている人」のうち、さらに「建築目的」の一部に限られてしまいます。一方、不動産の窓口を持っていれば、どんな相談内容であっても、自社の利益につながる可能性があるのです。
たとえその場で仲介手数料を得られなかったとしても、「相談を受けた」という接点そのものが、将来の自社建築やリフォーム受注の種になります。仲介という一つの窓口が、実は複数の収益源への入り口になっている、という発想が重要です。
実際に壁を越えた工務店の声
岐阜県で新築・リノベーションを手がけ、現在は物件王の加盟店でもある株式会社WOODYYLIFE様(ひだまりほーむグループ)は、当初、不動産事業に乗り出すつもりは特になかったといいます。
しかし、スタッフから「川上、つまり不動産という入り口をしっかり押さえれば、もっと事業領域が広がるのではないか」という提案を受けたことがきっかけで、参入を決めました。
代表取締役会長の石橋様は、当時の心境をこう振り返っています。
「設備投資も少なく、ダメなら引けばいい」
大きなリスクを取るというより、軽いフットワークで始めてみるという姿勢だったことが伺えます。実際、不動産業界特有のスピード感や商習慣に戸惑う場面もあったといいますが、「住宅業界の人間は、住宅ローンや税金といったお客様の人生に関わるお金の話を得意としている」という強みを活かし、事業を軌道に乗せていきました。
その後、同社では中古住宅を購入してリノベーションするお客様が増えるなど、不動産事業がリノベーション受注にもつながっているといいます。
▼インタビュー記事の全文はこちらをご覧ください。
「ダメなら引けばいい」!? WOODYYLIFEが果敢に始めた不動産事業の勝算
まとめ
少子高齢化と担い手不足という構造的な変化の中で、新築一本足のビジネスモデルは、これまで以上に厳しさを増しています。
不動産仲介という新しい領域に踏み出すことへの課題は、「人手を割けない」「何から始めればいいか分からない」「後発で勝てるのか」といった現実的な不安から生まれていますが、これらは乗り越えられないものではありません。
建築と不動産をワンストップで担うことは、費用対効果の高い集客、景気に左右されにくい経営基盤、そして仲介手数料以外の複数の利益にもつながる、これからの時代に欠かせない選択肢になりつつあります。
物件王では、こうした「最初の壁」を越えるための体制構築から、免許取得、後発でも成果を出すための実務ノウハウまで、建築会社・工務店様の不動産仲介業への参入を一貫してサポートしています。「何から始めればいいか分からない」という段階からのご相談も可能です。
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