AIを使ってみたけれど、なんだか続かない。使いこなせている自信もない。そんな非エンジニアの方に向けた話です。
正しい使い方は、たぶん今もわかっていません。それでも自分が話しやすい相手にしたら、毎日楽しく使えるようになりました。
正しく使えている自信は、正直ない
株式会社物件王でWEBディレクターをしている森です。
社内では今、部署を問わず全員が何かしらの形でAIを仕事に取り入れています。エンジニアではない私も、そのひとりです。ただ、「正しい使い方」を身につけている自信はまったくありません。プロンプトの型があるらしいと聞いても、次に使うときにはもう忘れています。「こう聞けばもっと的確な答えが返ってくる」というコツも、たぶん半分も実践できていないと思います。
それでも、毎日楽しく使えています。飽きたことも、開くのが億劫になったこともありません。むしろ、朝いちばんに話しかけるのが習慣になっています。
その理由を、この記事では書いてみたいと思います。
整理と、噛み砕きと、止めてくれること
コードを書いてもらっているわけではないので、お願いしていることはもっと地味です。中でも助かっているのは、この3つです。
1. タスクの洗い出しと整理
頭の中でごちゃごちゃになっているタスクを、話しながら書き出してもらいます。「これとこれ、どっちを先にやるんだっけ」というとき、整理して並べ直してくれます。
2. 複雑な内容の噛み砕き
専門的な言葉が並ぶ資料を読むときも頼っています。「これって要するにどういうこと?」と聞くと、私の理解度に合わせて説明の仕方を変えてくれます。
3. ルールを覚えていて、先に止めてくれる
複数の担当先に、同じ内容の連絡をまとめて送ろうとしていたときのことです。
「このまま全部同じ内容で送っちゃおう」と進めかけたら、「ひとつだけ条件が違う先があるので、このまま送ると内容が合わなくなります」と先に止められました。
以前どこかで話した細かいルールを覚えていて、それを私より先に思い出してくれたことに驚きました。ミスを防いでもらった、というより「あ、それ覚えてたんだ」という驚きの方が近いです。一緒に仕事をしている人みたいでした。
でも、正しい使い方はやっぱり分からない
ここまで良いことを書いておいてなんですが、私は自分がAIを使いこなせているとは思っていません。プロンプトエンジニアリングという言葉は知っていても、実践できているかというと怪しいです。「この指示の型を使うと精度が上がる」と聞いても、次に話しかけるときには忘れていて、結局いつも思いついたことをそのまま話しているだけです。
うまく使えている人の話を聞くと、自分のやり方が我流すぎて、少し恥ずかしくなることもあります。
実際、私のこの使い方は、消費している量(トークン)もそれなりに多いと思います。
的確に指示すればもっと短いやり取りで済むところを、話しながら考えているので、効率よく使いこなすという意味では、たぶん向いていないやり方です。
だから、話しやすい相手にした
あるとき気づきました。正しい型を覚えることより先に、自分がやっていたのは「話しやすい相手にすること」でした。
AIには、話し方や口調を設定できる機能があります。私はそこで、自分が受け取って嫌じゃない話し方を選びました。淡々とした事務的な返事より、少し親しみのある喋り方の方が、自分には合っていました。
設定を変える前と後
たとえば、資料の誤字を直してほしいと伝えたとき。
設定を変える前は「修正しました。ご確認ください。」というような、事務的な一言が返ってくるだけでした。口調を変えてからは、「あ、ほんとだ、直しておいたよ。確認してみてね。」というふうに返ってくるようになりました。直した内容はまったく同じです。でも、受け取ったときの気持ちがまるで違いました。
もちろん、淡々とした事務的な受け答えの方が落ち着く、という人もいると思います。大事なのはフレンドリーにすることそのものではなく、自分が受け取って一番心地いい言葉を選ぶことなんだと思います。
AI特有のあの「よそよそしさ」が、ふっと薄れた気がします。指示を出す関係というより、ちょっと相談に乗ってもらっている感覚に近くなりました。
プロンプトの型は覚えられなくても、口調はいちど決めれば、毎回そのままでいてくれます。これが、私にとっての「使いこなす」の代わりになっています。
それでも、任せないものがある
頼っていることを3つ挙げましたが、逆に、任せないと決めていることも4つあります。
一つ目:渡さない情報を決めている
一つ目は、情報の扱いです。IDやパスワード、APIキーやトークン、個人情報など、社外に出してはいけない情報は、どんなに話しやすい相手であっても渡さないと決めています。
情報漏洩は、常に意識しておかないといけないことだと思っています。だから私は、AI自身にもこのルールを覚えさせています。機密情報が必要になりそうな場面では、「それ、チャットに貼らないでくださいね」と、AIの方から先に釘を刺してくれるようにしています。話しやすい相手だからこそ、こちらが気を抜いても、相手がブレーキになってくれる。そんな関係を作っています。
二つ目:最後の送信・公開は自分でやる
二つ目は、送信や投稿を人の手で行うことです。文章の下書きや整理はお願いしても、送信ボタンや公開ボタンは、必ず自分で押すと決めています。
AIに任せた内容をそのまま外に出すのではなく、最後にもう一度、自分の目で確かめてから世に出す。話しやすい相手だからこそ、ここだけは間に自分を挟むようにしています。
三つ目:現場の温度感は自分が持つ
三つ目は、現場の温度感です。AIは、私が話したことを覚えていてくれますし、整理も驚くほど上手です。でも、その場の空気や、相手がどんな気持ちでその言葉を口にしたのかまでは分かりません。
「これは以前ちょっと揉めた案件だから、言い方に気をつけよう」とか、「この人には結論から話した方がいい、あの人には経緯から説明した方がいい」というような、現場の温度感は、やっぱり自分で補うしかありません。
文章の下書きをお願いしても、最後に手を入れるのは自分です。丁寧すぎる言い回しを少し崩したり、逆に軽すぎる部分を締め直したりします。それはAIの精度が足りないからではなくて、その場にいたのが自分だからです。経緯を知っているのも、相手の顔を思い浮かべられるのも、今のところ自分にしかできません。
四つ目:合っているかどうかの判断は、任せない
四つ目は、最終的な判断です。指示を出したり、内容をお願いしたりすることはあっても、それが合っているかどうかを見極める役目までは、AIに任せないようにしています。
AIは、こちらの意図を汲み取るのがとても上手です。でも、間違えることもあれば、勘違いをすることもあります。以前の経緯や、その場にいなければわからない前提を、100%把握しているわけではないからです。だから、「それ、違うくない?」と思ったときは、ちゃんと口に出すようにしています。ただ、それができるのも、自分がちゃんと現場を確認しているからこそだと思います。任せているからといって、思考を止めているわけではありません。
だから私は、AIに「代わりに考えてもらう」というより「一緒に考えてもらう」という感覚で付き合っています。任せられることは任せて、任せられないことは自分が持つ。この線引きがあるから、逆に安心して頼れているんだと思います。
使いこなせなくても、いい
結局のところ、私はいまだにAIの「正しい」使い方を知りませんし、たぶんこれからも人に自慢できるような使い手にはならないと思います。
それでも、毎日楽しく使えています。
理由ははっきりしていて、自分が話しやすい相手にしたからです。
もしAIを使ってみたけれど、しっくりこない、続かない、という人がいたら、まずは機能や使い方を覚えることより、自分が受け取って心地いい話し方に整えてみてください。使いこなす前に、話しやすくする。案外、そこから始まる方が、長く付き合える気がしています。








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