加盟店様の広告運用を担当しております田中と申します。
チームのメンバーと100社様以上の広告を毎月管理・運用しています。
話し相手にしてアイデアの幅を出す
弊社で不動産ホームページの広告は、今まで多くの加盟店様の広告運用の実績に基づいた、いわゆる「勝ちパターン」があります。
通常の運用であれば、この資産を活用することで安定した成果が出せています。
しかし、特に最近主流になりつつある「P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)」を運用する際は話が変わってきます。
P-MAXは機械学習の成果を最大化するために、複数の見出しや説明文、画像といった「アセット(素材)」を大量に用意する必要があります。
また、家を買うターゲット層の「感情」や「理想の暮らし」に訴えかける表現が求められます。
そういった求められる表現の幅は自分ひとりの引き出しだけでは、どうしても表現が似通ってしまったり、訴求の切り口がマンネリ化してしまいます。
そこで私はこうした「アイデアの幅」が必要な場面で、生成AI(ChatGPTやGemini)を活用の「話し相手」として活用しています。
毎回指示する手間を省く「Gem」の導入
AI活用を始めた当初は、毎回チャット欄に「あなたはプロのライターです。ターゲットは30代で……」と長い指示(プロンプト)を打ち込んでいました。
しかし、これだと毎回入力するのが手間ですし、記載する前提条件の設定が抜けたりなど指示の微妙なニュアンスの違いで出力の精度がバラついてしまうことが悩みでした。
そこで現在は、GoogleのGeminiで「Gem(ジェム)」という機能を使い、自分専用の「広告クリエイティブ特化型AI」を作成して運用しています。
質の高いアウトプットを出すための設定
私が作成したGemには、単なる文章作成の命令だけでなく、「ジョブ理論」に基づいたマーケティングの思考プロセスをあらかじめ組み込んでいます。
具体的には、いきなりキャッチコピーを書かせるのではなく、AIの内部で以下のような「思考の4ステップ」を踏ませてから出力させています。
【Gemに設定している思考プロセスの一部】
STEP 1|課題の抽出
ターゲットの属性(年齢・性別)ではなく、解決したい「用事(ジョブ)」を分析する
STEP 2|深層インサイトの発掘
顧客が抱える「建前」と「本音」のギャップを可視化する(共感マップの作成)
STEP 3|提供価値の言語化
機能的なスペックではなく、解決後の「感情的な価値」を定義する
STEP 4|クリエイティブへの昇華
以上の分析結果をもとに、初めてキャッチコピーとして出力する
※ルール設定
不動産公取規約に基づくNGワード(最高、完全など)の使用禁止
ここまで事前に「思考の順序」を定義することで、AIの思考プロセスの混乱を抑えつつAI特有の「なんとなくふわっとした文章」を回避しつつ、何度かAIとやり取りを行うことでコンセプトを意識した幅のあるアイデアを引き出せるようになりました。
また、前提条件をしっかりと設定することで、「プロとしての視点で辛口レビューして」といったブラッシュアップや会話を行うことで別の切り口を探すこともできます。
繰り返し作業の効率化
実際に私が最初にAIに入力するのは、「今回のコンセプト(サービス情報)」と「ターゲット層」といったシンプルな情報だけで済みます。
入力はシンプルでも、裏側ではGemが勝手に「ジョブ理論」に基づいて深掘り分析を行ってくれます。
毎回細かい指示をしなくても、一定のクオリティで最初のアイデア出しをAIに行わせることができるため、作業効率と質の両立を実現しています。
AIと人間の役割分担
もちろん、Gemを使っても100%完璧ではありません。
特に「空気を読む」「いい感じのニュアンスを汲み取る」といったことはまだ苦手なようで、ざっくりしすぎた命令では期待する結果は得にくい傾向があります。
また、指示したはずの「文字数制限」などルールをすっかり忘れて出力してくることが時折ありますし、文章として読みにくい表現になることもあります。
そのため、AIが出してきたものをそのまま使うのではなく、自分だけでは出せない「AIが作った幅のあるアイデア素材」として受け取り、最後は「人間」が手を入れて修正して入稿する。そういった役割分担こそが、AIを使った運用を成功させる鍵だと感じています。
まとめ
AIはとても進化していて、昔よりもずっと色々言いたいことを汲み取ってくれるようになったおかげで、今では自分の頭の中を整理しつつ、アイデアを出して固めていくための「優秀なサポーター」です。
日々加盟店様の広告を運用する中で、質の高いクリエイティブを考え続けるための「外せない存在」になりつつあると感じています。

